UUUM座談会

自他共に認める業界のトップランナーは、
ムーヴメントのさらなる先を走り続ける。

UUUM株式会社 常務執行役員 市川 義典氏(中央)
TSM在校生 岡部さん(左) / 鷹取さん(右)

SYMPOSIUM

HIKAKINさんをはじめとしたシンボリックYouTuberが多数所属するUUUM株式会社。
新規参入が多く、新陳代謝の激しいこのジャンルで、常に業界を牽引し続けています。
その秘訣はどこにあるのか、伺いました。

UUUM株式会社 常務執行役員 
市川 義典

映像音響会社、インターネットメディアレップを経て2015年UUUM入社。
メディアプラン設計や企画開発などの経験を活かし、企業とYouTubeクリエイターのコラボレーションや、インフルエンサーへの制作支援、現在はコンテクストドリブンマーケティングを推奨し、マーケティングにおけるインフルエンサー活用の啓蒙活動に従事。

鷹取 UUUM株式会社の事業内容を、教えてください!

市川 クリエイターさんが活動しやすいよう、管理やサポートをさせていただくマネージメントが当社のメイン事業のひとつです。僕らは「バディ」と呼んでいますが、タレントのマネージャーのような仕事をイメージしていただければわかりやすいかと思います。特徴は、あくまでもクリエイターと同じ目線に立つこと。だから「マネージャー」ではなく、「バディ」という言葉を使っています。

もう一つの軸ですが、クリエイター側を目指す人にとっては、収益も気になるところだと思います。たとえばHIKAKINさんが先日、登録者数1000万人を達成しましたが、それは「1000万人の方から見ていただける可能性のあるチャンネル」を意味します。つまりたくさんの人にものごとを知ってもらえる可能性につながるわけで、このチャンネルで商品を紹介したらより多くの人に認識してもらえるかもしれません。そういう広告ビジネスもおこなっています。話を聞いて、ピンと来ますか?(笑)

鷹取 はい!

市川 クリエイターさんのマネジメント業務と、いわば広告代理業のような広告プランニングが大きな軸です。そのほかに、僕ら自身もYouTubeチャンネルの運営をやっています。たとえば人気のYouTuberたちが毎日『やってみた動画』を配信する『ボンボンTV』。動画を通してゴルフの楽しさを伝える『UUUM GOLF−ウーム ゴルフ−』。そういうYouTubeチャンネル自体を制作し運営することも、業務のひとつです。

そして……、YouTuberやVTuberになりたいという夢を持っている人は多いと思いますが、僕らはその延長線上でビジネスを展開しています。たとえばクリエイターがチャンネルを立ち上げ、登録者数がどんどん増加し、100万人に到達したとします。その状況なら、クリエイターが作ったキャラクターのTシャツを販売したり、オリジナルグッズを作ったらファンに喜ばれるかもしれません。そのグッズを制作するビジネスも、おこなっています。

もちろん、Tシャツじゃなくてもいいんですよ。スニーカーが好きなクリエイターさんに「オリジナルのスニーカーを作ってみたいんだけど」と言われたら、どんなスニーカーがいいかを考えます。「ゲームを作りたい」という方と一緒に、開発することもあります。クリエイターさんがインフルエンサーとして活動していく延長線上で、僕らのビジネスも広く展開させてもらっている、そういう企業です。

鷹取 クリエイターさんがたくさん所属していますが、どのような基準で選んでいるのでしょうか?

市川 明確な基準というものは、ないんですよね。ですが、一緒にビジネスをしていくことになるので、方向性の合う方々がいいという考えがあります。クリエイターの中にはゲーム配信が多い方もいれば、メイク動画を作るのが得意な方もいます。コンテンツの目的・目標はクリエイターさんによってバラバラなので、事前によく話し合ってから所属するかどうかを決めていく形です。

岡部 「明確な基準はない」とのことですが、たとえば登録者数が伸びているクリエイターさんから選ぶ、ということはあるのでしょうか?

市川 最近で言うと、クリエイターやインフルエンサーの活躍の場がYouTubeに限らなくなってきています。TikTokですごい再生回数をはじき出す人もいれば、LINEライバーとして活躍していらっしゃる人もいます。インフルエンサーの活動の幅が広がってきているので、そこで当社が求めるものとクリエイターさんの求めるものが一致したとき、所属する形になるかと思います。

鷹取 インフルエンサーになりたい人が、まず持つべき目標はありますか?

市川 クリエイターさんの多くが、到達したい登録者数を目標に掲げています。「○○さんと共演したい」とか「料理が好きなので自分が作った一品を商品化したい」という夢ももちろんいいんですけど、クリエイターとして活動していくための指針として数字は必要です。「自分は○万人に登録してもらうんだ」とはっきり設定したほうが実現する可能性は高いと思いますし、成功しやすい環境に自らを置ける気がします。本来の目標である「自分が作った料理を商品化したい」という夢も、登録者数が100万人を超えたら叶う可能性がグンと上がります。だからこそ目標の登録者数を設置することは、クリエイターさんの活動の中でも重要なことではないかと思います。

あとはやはり、“やり続ける”ということですかね。イヤなことがあったり、気分が乗らなかったりしても、「一週間に3本は動画を上げるんだ」と決めたら必ず上げ続ける。クリエイターさんにとって一番つらいことでもありますが、実は一番必要なことなんです。僕らが一緒にお仕事させていただいている方は、その面でプロ意識の高い人が多いですね。自分が学生のころを振り返ってみると、「週に3本は動画を上げる」なんて決めたくないですよ(笑)。僕の学生時代にYouTubeはありませんでしたが、映像が大好きだったので、CMや映画・ドラマを作ってみたいと制作会社に就職しました。撮影をして編集して……という作業の大変さを知っているだけに、クリエイターさんは本当に大変だと思います。

岡部 ゲームがとても好きで、『APEX Legends』というゲームをやっています。UUUMさんは大規模カジュアル大会『えぺまつり』を主催しましたが、大会には所属のクリエーターさんだけでなく、ストリーマーさんやプロゲーマーさんなどが出場していました。この方々の参加は、クリエイターさんたちが声をかけたのでしょうか?

市川 当社からお声がけをさせていただきました。コンテンツとして楽しんでもらうためには、その垣根を超えたほうが面白いものになると思ったので。当社のクリエイターだけでやるのもひとつの方法だと思いますが、あのイベントに関してはストリーマーさんやいろんなジャンルの方とミックスしたほうが確実に視聴者さんに喜んでいただけるコンテンツに仕上がると、当社のプランニングチームが企画しました。実際、その形でやってよかったと実感しています。

岡部 最後に、業界を目指す人へアドバイスをもらえたら、うれしいです!

市川 自分の信頼しているメンバーが言うには、「エンターテイメントは自己犠牲の精神がないと、なかなか成立しない」。僕もその通りだと思っています。一方で「楽しい」「面白い」という感情を持っているからこそ、エンターテイメント業界に進みたいと考えているのだと思います。その感情は忘れずに、しかし自己犠牲を払わなければいけない部分もあったりするので、そこをバランス良くやっていくことはとても重要です。そして青臭いとは思いますが僕自身がお伝えしておきたいのは、「やりたいこと・成し遂げたいことは言葉にしよう」。言葉にすると、意外とチャンスが回ってきます。「ゲームが好き」と公言しておけば、その言葉を覚えている人から「明日のゲームイベントに欠席者が出てしまったので、参加してもらえませんか?」と声がかかったりします。僕自身が長い間仕事をしてきて感じるのは、「○○さんと会いたい」「こういうものを作ってみたい」と発してきたからこそ、それを聞いていた人たちが「あんなこと言っていたな」と思い出してくれて、縁がつながったりするんです。やりたいことは恥ずかしがらず、口に出してください。

岡部/鷹取 はい。本日はありがとうございました。